久能整のさらなる活躍が期待される最新巻ですが、期待以上のものでした。
まずは冒頭のシーンからぐっと惹きつけられました。
全編を通してのテーマのひとつとも言える、子どもの虐待について描かれるであろうことが匂わされます。
また、大人による子どもへの接し方について考えさせられる内容であることも期待させられました。(もちろん見事に描かれています)
場面ごとに発せられる久能の膨大な量のセリフがどれもこれも冴えていて、その根底にある強い意志や人柄が窺われ、感動の連続です。
またディテールまで描きこまれた細部はウィットに富んでおり、これも味わい深くて非常に楽しめました。
香音人と下戸の関係性についても、さまざまなエピソードによる伏線が張られています。
犯罪でありながらも正義なのでは、と思わされていたことが、徐々に、そうではないとの描かれ方にシフトしていくあたりもさすがです。
漫画ならではの描写による手法で語られることにより、事実と思っていた(思わされていた)ことが最後に驚愕の展開を見せたときは、まさかと思ってもう一度読み返さずにはいられませんでした。
久能の生い立ちや、おそらくそれによってずっと抱えている思いも徐々に語られ始め、次巻への期待はますます高まります。