表紙のカラーがいつもと違う雰囲気で驚きました。が、ビビットな色調の中にあっても美しい着色が素敵だと思いました。
子供が持つ悪意と、子供が起こした犯罪への対処法など、今回もまた社会問題に切り込んでくる内容だな、とドキドキ・ひやひやしながら読み進めました。
私自身、自分が純粋無垢な子供だった記憶がないので「子供は純粋な存在だ」と手放しに言える人たちとは感覚が違うな、と思っていたのですが、本作ではそのどちらの感覚も取り入れつつ話が進行するので、「作者の頭の中はどうなっているのだろう?」と驚愕・感嘆しました。
「増殖」から繋がっているストーリーという点も秀逸で、解決済みの事件のその後が平然と取り上げられていることに驚きます。
事件が終わっても事件関係者の人生は終わらないのだという当たり前のことを突きつけられたかのようです。
この巻を読むと「増殖」から、もっと言うと前シリーズの「秘密-トップ・シークレット-」から読み返したくなってしまいます。
また、この巻では薪と青木のやや棘が少ない絡みを多く見ることができ、癒されると共に、薪が抱えている地獄を想像するとより一層辛くなります。
薪が抱えているストレスが今後少しでも減ることを願わずにはいられません。