3話 BE-LOVE(ビーラブ) 11月号
今回は、幽体門に入院中の男女がやって来るという物語でした。
相変わらず現世には帰らないと言い張る主人公の真理と、担当者のルーキーが、幽体門の近辺でもめているのには笑いました。
そんな真理たちは、現世で入院している男女の幽体に気がつきます。
もともと入院していた少女・亜純は、心臓の病気で移植待ちをしていました。
交通事故に遭った青年・忠は、移植の意思を表明した状態で、脳死状態になりました。
現世では、忠の心臓を亜純に移植しようとする動きがあるのですが、それがなかなかうまくいきません。
実際には、臓器移植の手術に関して、提供者と受容者が出会うことはありません。
しかし、この物語では、幽体門という場所を通じて、亜純と忠が移植について話し合うところが描かれていきます。
幽体という考えかたがあるために、こうした物語を描くことができるというのは、面白いと思いました。
亜純は自分の体や病気のことよりも、忠の家族のことを心配するような優しい少女です。
忠は自分の死をすでに受け入れており、自分の心臓を使って亜純に生きてほしいと願っています。
移植に関わる2人が、まっすぐで気持ちのいい人物だったので、安心して読めました。
亜純と忠のために、真理が現世に移動して伝言役をつとめる流れが良かったです。
こうして亡くなった人と生きている家族が意思疎通をする方法があったら、大切な人を失う悲しみや苦しみも、少しは癒えるのかもしれないなと思いました。