38話 花とゆめ 20号
扇言が修学旅行関係のプリントを渡すため、同じ班になった板見さんの家を訪問します。
不登校の生徒の家庭訪問と称し、ちゃんとついて来るところが、ストーカーのように扇言を見守る灰仁らしいです。
首についたキスマークを絆創膏で隠して平気な顔をしている彼に、やや引き気味な扇言らしい反応も、軽妙なやり取りがいつもの二人らしくて良いです。
そんな二人を驚かせるほど怪我だらけの新キャラの板見さんは、ドシが7割、彼氏の愛情表現が3割と怪我の理由を説明します。
扇言が持って来た修学旅行のプリントも、彼と会えなくなるから行かないと話し、そんな彼女を灰仁は依存と表現します。
そこまでの展開の中にも随所に散りばめられる、灰仁と扇言のボケとツッコミのような軽快なやり取りが、絶妙に笑えて、少しずつ二人の距離が縮まっているのを感じさせてくれます。
扇言に、俺うまい弁当が食いたいと言い残し、灰仁は先に帰って行きますが、その後、扇言が板見さんに、いろいろとロクでもない人だけど、その人が生きているから生きている、入れ込みすぎなのは自分も一緒だと、自分の好きな人の話をします。
扇言は、想いの深そうなタイプだと思ってはいましたが、灰仁のことがそこまで好きなんだと、切ないような温かいようななんとも胸に迫る内容でした。
ラストは、先生の予定通り、板見さんに料理を習いお弁当を渡す扇言と灰仁のやり取りがあり、二人の依存についての思いが語られます。
まだ明かされていない、この二人の本当の関係や過去が物凄く気になる形で今月号は終了でした。
39話 花とゆめ 21号
今回は、扇言のクラスの授業が、図書室での自習になった場面から始まります。
自習監督で図書室にいる灰仁は、何を書いているのか扇言に問われ遺書と答えます。
なおも問う扇言に対し、修学旅行が北海道でスキーだから飛行機がワンチャン墜ちるかもと答える彼が、それを願っているのか、ちょっと読み取れません。
ただ、アンニュイな表情が素敵です。
心配した扇言が、高所恐怖症なのかを尋ねますが、下心を顔に出し、励まして抱きしめてと無言アピール、ちゃんと下心読みした扇言に、ちゃんとスルーされます。
このやり取りが、二人の良い関係を表すようでやっぱり好きです。
もしもの時のPCのHDDの処分を心配し、男のPCの中は見ちゃダメだぞという、お決まりの流れも、灰仁のキャラならあり得そうで笑えます。
一緒に遺書を書くことを勧められた扇言は、隣に座って書き始め、言い残したことや心残りになりそうなことを考え始めます。
そして、縦書きの便箋に、先生のことが、までを書きハッとして隠しますが、抜け目なく横目で見ていた灰仁にはバレていて、あと4文字だったのにとからかわれ照れる扇言が可愛いです。
遺書を書くのは初めてじゃないという灰仁の周囲に生徒がわらわら集まり始め、残す家族もいないしお前らにもやらねえと、いつものようにワイワイしながら授業は終わります。
その後二人になった図書室で、何か悩みがあるのかと心配する扇言に、心残りだらけだから今から消化しようと迫る灰仁は、扇言の腰に手を触れています。
隙あらば接触する灰仁に赤面しながらも、いつの間にかそれを普通に受け入れている扇言は、いつか心残りの消化に付き合うから、私の心残りもその内聞いて欲しいと言います。
二人の間に漂う雰囲気が甘く穏やかで、思いが通じ合っていてきゅんきゅんします。
最初から最後まで遺書のお話なのに、なんだか温かい内容でした。