ネタバレOK?なっちゃんのメモめも

ただの漫画好きおばさんのただのメモ 雑談も多めです~

ひゃくえむ。 1巻・2巻 ネタバレ注意 魚豊さん

1巻

トガシという名前の少年が主人公の陸上マンガです。

彼は生まれついてもった「速く走れる」という特技のおかげで小学校生活をそつなく過ごしていますが、自分の「足が誰よりも速い」ということに特に思い入れはありません。

小学生の彼にとって速く走れるということはクラスの人気者になれる、仲間はずれにされなくてすむ特典がついてくるだけの言わばツールのようなものに過ぎないのです。

その彼が、転校生の小宮君に出会い速く走るコツを教え始めます。

「走っている時だけは嫌なことを忘れられる」と走ることに没頭する姿に触発され、彼を励ます一方、自分はいつか彼に負けるのでは?という恐怖を覚え始めます。

面白いのは、このトガシと小宮君の「走ること」への向き合い方、熱量の違い。

小宮君の走る動機は「現実逃避」からやがて「走れる喜び」「記録を伸ばす楽しさ」に変わっていきますが、その向き合い方は愚直なほどにまっすぐで、「全力過ぎる」と言われるほど。

対するトガシは小学校陸上には所属しない、なのに速いという、いわば才能も備えつつ、「陸上とどう向き合うかは人それぞれ」とある意味冷静な視点も持っています。

やがて二人はどちらが速いのか真剣勝負をするのですが、その決着ははっきりとしないまま、小宮君はトガシの前から去ります。

走ることの魅力、速さとその栄光、そこから負けた時味わう敗北の恐怖を知りながら徐々に陸上へと進んでいくトガシの心情描写に引き込まれ、非常に熱いアスリートマンガです。

2巻

小学校から「足の速いキャラ」でクラスメイトの人気を得てきた主人公トガシは、陸上に魅せられた同級生小宮君の陸上への熱量に複雑な感情を抱きつつも、真剣勝負で挑んだ決着は小宮君の負傷でうやむやのまま、中学校へと進学します。

中学時代に持ち前の「速く走れる才能」を存分に活かし、陸上の花形選手になります。

しかし勝利の栄光には必ず敗北の恐怖がついて回ります。

周りの、小宮を「花形の陸上選手」として見るギャラリーには理解されない、葛藤を孤独に抱えることに疲れたトガシは高校進学を機に陸上から離れることを決意。

ところが事実上活動していないはずの陸上部員が練習に打ち込む姿や、同じく別の陸上部員が嫌がらせを受けているのを見るうちに、トガシは陸上部再建のため動き始めることに。

登校拒否になってしまった部長を部活に引き出すため、「陸上部員」をそろえて迎えに行く、とタンカを切ったトガシは、嫌がらせの首謀者に宣戦布告。

卑屈になっていた陸上部員にも説得を試みる。

陰口を言われ、「自分でも才能ないって分かっているけど」「今はやめる時じゃない」と陸上に向き合う女子部員の芯の通ったセリフがひと言ひと言読んでいて突き刺さる。「黙り込むにはまだ早い」。

大人になるにつれ、あきらめるのは簡単だと知っているだけに、信念を突き通す人間のカッコよさが余計に胸に響きました。