1話 officeYOU オフィスユー 9月号
この新連載は、主人公の佐久良ハルが住居物件にまつわる事件を解決していくという物語です。
ハルはもともと企業に勤めていましたが、上司のセクハラが原因で退職しました。現在は街中の小さな不動産屋で働いています。
今回はハルが入居した事故物件に住んでいる女性の幽霊の恨みを晴らすという話でした。
ハルは積極的に幽霊に関わりたいわけではなかったのですが、女性が毎晩現れて眠れません。常に真顔でクールなハルが、周囲からの圧力やしかたのない事情に押されて、少しずつ事件に巻きこまれていくのが面白かったです。
幽霊や事故物件の話ということで、ホラーな感じになるのかなと身構えて読んでいたのですが、今回はどちらかと言うと事件の背景を追っていくサスペンス的な色が強かったので、どきどきしながら楽しく読むことができました。
特に面白かったのが、ハルを守護しているご先祖様の霊・源一郎です。
源一郎は切れ長の目に艶っぽい唇というなかなかの二枚目なのですが、ハルに対してかなり強い態度をとってきます。助けを求めるハルに「源一郎様」と様をつけるのを強要する場面には笑ってしまいました。
事件そのものはシリアスで悲しい話だったのですが、ハルと源一郎のかけあいが面白くて、いいコンビだなと思いました。
源一郎は長髪をひとまとめにして和装をしています。ハルのご先祖と名乗っているのですが、いつの時代に生きていて、職業は何だったのか、今回の描写だけではわかりませんでした。
今後もハルと源一郎が事件を解決していくというのが話の定番になりそうです。どういう事件が起きるのかも楽しみですが、ハルや源一郎にもそれぞれ秘密にしていることがありそうなので、それが明かされていくのも楽しみにしています。
2話 officeYOU オフィスユー 10月号
今回は、主人公の佐久良ハルが「入居者が消えた部屋」に住むことになりました。
ハルが働いている不動産店の社長から部屋の交渉をされる場面が面白かったです。
社長の申し入れに対して、ハルはいつも通りの対応をします。最初はきっぱりと断っていたハルが、ある条件を提示されたとたん、話に乗る流れが面白かったです。
ハルの物件案内もかなり上手いのですが、社長もさすが個人で不動産店を営んでいるだけあって、こういうところの押しが上手いなと思いました。しかし、主人公がたて続けにわけあり物件に住んでいると、今後も問題のある部屋を押し売りされてしまうのだろうかというのがちょっと心配です。
話の途中で、ハルがお見合いをすることになってしまうところには驚きました。
お見合いの話を持ってきたのは、ハルの母親でした。母親はハルがそのまま年齢を重ねたような顔をしていて、ハルは母親に似ているということがわかりました。
しかも、母親は取引先がどうとか、家がどうとか言って、お見合いを嫌がるハルをまるめこんでしまいます。かなり押しの強い母親で、ハルが苦手だと言うのも納得できるなあと思いました。もしかすると、物件を案内している最中のハルの押しの強さは、母親ゆずりなのかもしれないなあと思いました。
今回は、入居した人が消えるという物件にまつわる問題と、ハルのお見合い問題が同時進行していて、どっちがどうなるのか見えないのが面白かったです。たった1度会っただけのハルと結婚したいというお見合い相手・清塚正人の意図も気になります。次回がどういう展開になるのか、とても楽しみです。