興味のあるものに夢中になれる体力と気力に満ちた高校生のうららより、毎月の楽しみである雑誌の発売日さえ、すぐには思い出せない市野井さんに感情移入して読んでいます。
市野井さんとうららは、好きな漫画が同じという共通点はあるものの、孫と祖母ほどに年齢の離れた友達、お互いに気づかいが必要です。
市野井さんは、うららの勉強の邪魔をしてはいけないと気づかい、うららは高齢である市野井さんに無理をさせてはいけないと気づかう優しさがあります。
1人暮らしの高齢女性である市野井さんに対するうららの気づかいと優しさは、決して間違いではありません。
一度は誘ったものの、市野井さんを大混雑の冬コミに連れ出すのは大変だろう、そう思い当たるうららは、とても優しい女の子だと思います。
しかし、市野井さんはうららが思っているよりも、ずっと前向きでアクティブなおばあちゃんです。
ある程度の年齢になると、それまで知らなかった世界に飛び込むのは躊躇するものです。
しかし、市野井さんにはうららという、一緒にその世界に飛び込んでくれる友達がいます。
私が市野井さんの年齢になったとき、そんな友達はきっといません。
そう考えると、市野井さんが少し羨ましくなります。