ネタバレOK?なっちゃんのメモめも

ただの漫画好きおばさんのただのメモ 雑談も多めです~

フルーツバスケット 最終回 結末 ネタバレ注意

自分たちが化け物であることに苦しみ続けた草摩家の人達が、透と一緒に前を向いて生きていきたいと願って、努力した結果で、やっと呪いから解放されました。

傷つけたことも、傷つけられたこともあり。それら全部を含めて、引っ越しする前の透が夾に言うセリフです。

透「楽しかったです。皆さんと過ごせた日々。楽しくて…宝石みたいで。愛しくて。愛しくて。さびしいです…やっぱり」

大好きな人達の呪いが解けたことが嬉しくて、たくさんの人を傷つけてでも一緒にいたいと願った人と一緒にいることができて嬉しくて。でもそれはそれぞれが旅立つことになる選択で、誰かとの別れになるという寂しさが伝わってきます。

この後、それぞれ草摩の人達が新たに旅立つ準備をしたり、それぞれの道を進もうとする決意を大切な人に報告したりするシーンになります。今まで言えなかった言葉や、出来なかった事(異性を抱きしめる)など、出来なかったことが解禁された解放感が、みんなの笑顔で伝わるシーンです。暗い表情の多かったキャラクターも最終話で笑顔です。

そんな草摩家の人達から透に「幸せになってほしい」「幸せにならなきゃ絶対ダメ」というセリフが出てきます。直接透に言わなくても、みんな違う場所で同じことを願っていると伝わるシーンです。平凡を絵に描いたような主人公の透が、特殊な力を持つ草摩の人達には幼い頃から得難かった気持ちとぬくもりをくれた人になったんだというこのセリフたちには、自然と涙が出てきます。今までこんなセリフは出てきませんでしたから。

わだかまりは引っ越し前にすっきりさせるんだというかのように、みんな思い思いの人に会って気持ちを伝えていきます。

由希が引っ越しを明日に控えた透に自分の今までの気持ちを話す場面には、たくさんの想いが込められていて、シンプルなセリフなのにじんわりと胸にきました。

由希は今まで呪いのせいで他人と上手く関わることができなかったけれど、愛されたいと強く願っていたこと。それは自身の母親に愛してほしいと望んでいたことだったと、透と生活するように認識したと話します。

母親に愛されたいという普通の気持ちを満たしてくれたのは、赤の他人で同級生の透だったと。それが恥ずかしくて情けなくて、一時はそれを恋愛感情に置き換えようとしたけれど、けれどやっぱり透の存在は由希の中で「母」という大きく包み込んでくれる温かな存在なんだということを最終話で透に言葉にして伝えることができました。由希は「やっと言えた」と安堵の笑顔を浮かべます。

これは草摩家の総意だと思います。呪いのせいで他人と触れ合えず、そのせいで親とも関係は劣悪になる一方だった草摩家での生活を強いられていた彼らにとって、他人と普通に笑って話して、毎日安心して「ただいま」「おかえり」「いってきます」「いってらっしゃい」が言える環境は、何よりも大切なものだったのではないかと。事実ほとんどの草摩の人が透の振る舞いに理想の母親像を重ねています。特に依鈴は透と出会った瞬間にそれを望んだ自分を察し、強く拒絶していました。

作品は主人公が高校一年生の時からスタートし、高校を卒業して最終話となっています。つまり2年強の出来事です。たった2年の間に透は他人との接触を避け続けていた草摩家の人達から、心のトゲを取り払ったということです。心についた傷はそう簡単には治りません。治せる人もいません。他人を信じても裏切られる生活にいた草摩家の人達にとって、透の「人を信じる」という気持ちは彼らの心を癒すには十分だったようです。

ただ、現実にあそこまで他人を信じ、優しく接し続けることができる人は最早「聖人」だと思います。自分がどれだけ傷つけられても、他人のことを考える続け、行動することができる人だからこそ、透は草摩家の人達に愛されたんですね。

透自身にはそんな大それたことをした気持ちはなく、「皆さんのお邪魔になっていないか」という心配ばかりでした。最後の最後で由希が透に伝えます。

「新しい環境でそれぞれの日々を生きていくけど、でもふと君を想う。君は元気でいるだろうか。泣いてたりしていないだろうか。笑ってくれているだろうか。君は今日も幸せだろうか。そんな風に想うよ。これからも」

由希のこのセリフの間、背景には草摩家の人達が描かれています。みんな同じように透に感謝し、透の幸せを願ってくれている。それを透は由希の言葉でやっと受け取ることができたのです。

由希は続けて言います。

「君に会えて良かった。君がいてくれて良かった。ありがとう、透」

名前を呼ぶことがずっとできなかった由希の最後の勇気です。透にとっても嬉しい言葉だったと思います。どこか遠く距離を置こうとする由希が、こんな風に想ってくれていたとわかって。

最後は少し未来のワンシーンになりました。このシーンははっきりと見せないことで余計に胸が高鳴りました。

透達が一緒に生活していたと思われる家に、ケーキを作る女性の姿、透が以前に作った十二支の猫人形に似た人形を持つ少女が出てきます。女性は少女の母親のようです。

少女「とーる君ときょー君はぁ?」

母親「こら、おばあちゃんとおじいちゃんって呼びなさい」

この時、透と夾は幸せな家族を作ることができたんだなと実感できて、胸が締め付けられる思いでした。

普通の家庭のように結婚し、子供を持ち、孫が生まれた二人は、やっとこの家に帰ってくることができたんだと思うと嬉しくて。孫も認めるほどに毎日ラブラブなお散歩時間を過ごしている大人になった二人の後ろ姿が出た時には、感動の涙です。人生の中のたった2年強の時間でしたが、あの辛かった時間を負けることなく前向きに生きていこうと努力したからこそ、幸せな今を送ることができたんだと思うと、更に涙が溢れてきます。

けれど、過ごしてきた時間は決して通り過ぎるだけのものではなく、ちゃんと今の自分を形づくる大切なものだったかというように最後のシーンで、透が修学旅行で買った十二支像、手作りした猫像、夾の呪いを封印する数珠、たくさんの写真、出会いのキッカケとなった帽子が飾られていました。人も物も想いも大切にする透だからこそ迎えられた結末だと思います。

この漫画は何年経っても、何度読み返しても心を洗い流してくれる漫画です。