東京タラレバ娘の最終話のタイトルは、まさにそのまま、「東京タラレバ娘」。
モデルのKEYと一晩を過ごした倫子が、タラとレバの幻影にきっぱりと別れを告げます。
「一生独身、それならそれで仕方ない」と。
腹をくくった倫子が、ついに早坂さんに別れを告げるシーンは本当にドキドキしました。
安定していて、大人の落ち着いた付き合いで、相手からも求められていたこの恋愛。一緒に引っ越しして、鍋を食べて、絶対に幸せになるとわかっている人との毎日。
それらを捨てて、この可哀そうな子供のようなKEYを選ぶことが、自分にはできるだろうか?考えたら絶対にできないと思います。
結婚がしたいとあがいてあがいて、行きついた先の結論が「一生独身、それでも仕方ない」という悟りのような感情であったことが、とても身に沁みました。
しかし、早坂さんも格好いい。モデルなんかよりもずっとずっと格好いい。よその男を好きだという倫子を責めるでもなく、恨むでもなく、「KEY君のこと好きなんでしょう?」「倫子さんが後悔しないほうを選んで」と言ってしまえるその大人の強さ。そして、倫子の背中を押す「鎌田倫子! 第4出動!」のセリフ。なんて素敵な人なんだろうと思います。
強くて、やさしくて、それでいて大きい。こんな人に出会えて、きっと倫子も幸せだったと思います。早坂さんはとにかく女性との縁が今回はなかったですが、絶対に絶対に次の人とは幸せになってほしいと思わせてくれる素敵な男性でした。
そしてまた、KEYも素敵な男性です。
タラレバに、「あたしはもう後悔なんてしない」「私この人を幸せにしたい」とそう啖呵をきる倫子に、「もうきっと幸せだから」と言ってくれた。カメラがまわっていることも関係なく。涙を浮かべながら、倫子に感謝の言葉を素直に述べるKEYは、ああ、全てではなくても吹っ切れたんだなあと感じさせる素敵な笑顔でした。
今までずっとずっと不敵な笑みや無表情や不快な表情ばかり見せていたKEYが、屈託なく倫子に笑うその顔は、とっても印象的でした。
恰好いいだけではなく、顔がいいだけではなく、もっと大きな男に成長したのでしょう。
きっと監督が撮影していたこの風景は、作品になったのかならなかったのかはわかりませんが、素敵な映像として残るといいなあと思いました。
また、この三人だけではなく、残りのタラレバ娘、香と小雪も変わりました。
三人はまたタラレバ娘の女子会でぐだぐだと飲んだくれています。
でももう香は二股をかける男と決別し、小雪も不倫を終わらせ、全てが変わりました。
合コンにいって「いい男がいない!」と嘆いているのはいっしょでも、その心境はずっとずっと明るそうで、見ているほうも楽しくなってしまいます。
そんなタラレバ娘の姿を見て、タラとレバが「バイバイ」と言って消えていく。まさに、フィナーレです。
最終話で印象に残るように描かれているのが、沢山の風船が空を舞うシーンです。
タラレバ娘にだけ見える、沢山、たくさんの風船が空を埋め尽くしている。東京という都会の街で、沢山の人生があって、つらいことも悲しいこともとにかく多いけれど、それでもいいこともたくさんあって、そしてみんな幸せになってほしい。そんな思いがつまった風船が、東京の広い空を舞うその光景は、読んでいてとっても幸せでした。
自分が幸せになりたい、でもそれよりももっと好きな人に幸せになってほしいというそんな思いを、私もしてみたいです。
タラレバ娘以外の人たちも、みんなみんな魅力的でした。
そしてこれから目指すのは、「かっこいい女」。どんな女がかっこいいかは人それぞれですが、ああ、東京タラレバ娘達が、どうか幸せでありますように。