6巻は聡子が成長した巻でした。
6巻の途中まで聡子は真修にとって「お母さん」や「先生」の代わりとして在ろうと自分を制していました。
また、きっと真修はかわいそうな境遇の少年なのだ、私が守ってあげなければと思い込むことで自分が「真修のそばにいる権利」のようなものを自分の中につくり、正当化させていました。
でもこの巻の中盤で真修の家の真実を知り、ネグレクトや虐待などの悲しいことはなかったし、今は母代わりのおばあちゃんも家にいて面倒を見てくれていて、不自由なく暮らせてると知ります。
聡子は今まで自分が想定していた境遇と真修の本当の環境違うことを知り、戸惑い悩みますが、最終的には聡子は真修にフィルターをかけるのをやめ、等身大の真修を見られるようになります。
そして、それは同時に等身大の自分の気持ちにも向き合うことでもあります。
フィルターをとって、自分は母代わりでもなく、真修はかわいそうな子でもなく、その上で聡子がどうしたいか、どう真修を好きなのかをやっとフラットに考えられるようになりました。
面倒な理由づけなしに、「真修に会いたいと思ったから会いにきたよ」という選択ができるようになります。
これは責任感が強く、内側に抱え込むタイプの聡子の大きな成長だと思うのです。
聡子が自分の奥底に眠る「好きなものは好き、したいもことはする」という欲求を素直に認めてあげられるようになってきて読者の私も読んでいてとても嬉い気持ちになれました。