冒頭の11話で、前の巻から引っ張っていた近藤兄弟の話が完結します。
ジュダとは何者なのか?いわゆる反社会的な、裏の世界の住人ぽさ全開で登場していましたが、それだけではない意外性のあるキャラクターという事が判明します。
高柳先生が店に現れた時、二人の哲学用語による掛け合いが始まって、一体どういう関係なのかとドキドキしました。
ものすごく悪い人というイメージは恐らく間違いないのに、高柳先生と会話がしたいと言って縋るような態度は、まるで極上のBLの様でした。
そして他にも、この巻に収録されている13話も素晴らしかったです。
他の話に比べると大事件があるわけでもなく、地味な印象すらありますが、この13話の主役である田村くんは最近の物わかりが良くて優しい若者像が投影され、共感出来た人達も少なくなかったのではないでしょうか。
子供の人生を放っておいてくれない、口も手も出しすぎる母親。
そしてそれを愛情だと言い聞かせ、どこか息苦しく感じながらも拒絶できない子供。
高柳先生は、そんな親子関係を否定するわけではなく、それでもいつか自分の為に勉強し、自分の為に人生を選んで欲しいと田村くんに伝えます。
他人に没頭することは、自分と向き合うことから逃げた結果であると、鋭い指摘でその狭い視界を切り開いてくれます。
どの話を読んでも気付きに繋がる物語です。次の4巻も期待です。